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(五十三番大津浩子)三つ目に、千客万来の世界都市東京を目指しまして、観光産業振興プランについてお伺いいたします。
石原知事は、国よりも先行して観光を産業として位置づけ、カジノ実験、ホテル宿泊税の創設による観光振興策に取り組んでまいりました。
平成十五年の外国人観光客は、522万人という世界33位の人気のなさで、この数字は日本から海外への旅行者1,330万人の半分以下、国際旅行収支は2兆3千億円の赤字でした。国が最近になって、外国からの観光客を2010年には1千万人へという観光立国構想を掲げましたが、海外からの観光客のうち、56.5パーセントもの人が、ここ東京を訪れると推計されています。
観光客はここ数年伸び悩んでいますが、私どもも千客万来の世界都市東京にしたいと考えます。このためには、東京全域で魅力ある観光まちづくりの促進がかぎとなります。
都は今年度から、上野や臨海を観光モデル地区といたしましたが、私は観光まちづくりが都内全域で展開されることを大いに期待しています。例えば渋谷区は、若者があふれる渋谷駅周辺、流行最先端原宿・青山、ケヤキの表参道・明治神宮、国際色豊かな広尾、落ちついたたたずまいの松濤など、観光資源として多彩な顔を持っているように、都内全域にもそれぞれ特色のある観光資源がたくさんあるからです。
東京都はまず、観光まちづくりについて今後どのように取り組まれるのか、見解をお伺いいたします。
【産業労働局長有手勉】観光など、二点のご質問にお答えいたします。
初めに、観光まちづくりの今後の取り組みについてでございますが、観光まちづくりは、地元住民、観光連盟、商店街や地元自治体などが連携し、地域が主体となり、地元の魅力的な観光資源を生かしたまちづくりを推し進めるものであります。
現在、モデル地区の上野では、観光をテーマに、関係するさまざまな地域の人たちが協働し、旅行者が訪れたくなる活力あるまちの実現を目指し、動き始めたところでございます。年度末には、これらを参考に、全都的に広める基本指針の策定を予定しております。
今後は、シンポジウムの開催による指針の普及、各地域の中核となって活躍するリーダーの養成などにより、まちづくりの主体である地域の取り組みを積極的に支援し、観光まちづくりを都内全域に展開してまいりたいと考えております。 |
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(五十三番大津浩子)また、渋谷では毎年秋、東京国際映画祭を共催しています。映画祭は、カンヌなど世界12映画祭の一つですが、世界マーケット2位の映画大国日本で開催しているにもかかわらず、現実には、石原知事もいま一つ盛り上がりが足りないと述べられているとおりです。お祭りとしてのにぎわいをつくり、商業ベースに乗せられるかの工夫も含めて、今後の東京国際映画祭の活性化に向けて、知事のご見解をお伺いいたします。
【知事石原慎太郎】次いで、東京国際映画祭の活性化についてでありますが、私もかつていろいろな形で映画にかかわったことがございます。映画は言葉を超えた国際語だと思いますし、その国の文化を端的に表現するメディアの一つだと思います。
これまでの東京国際映画祭は、ベルリンやカンヌに比べると、客も少なく、どうも作品のレベルも必ずしも高くなく、率直に申し上げまして、大津議員には申しわけありませんが、私は渋谷という町柄とミスマッチな気がします。そのために、前にいったように、混雑を意識しながらも、せめて有名な俳優や監督、プロデューサーが来るとき、日本人も外国人でもよく知っている人たちですから、入り口にレッドカーペットでも敷いたらどうだということで、実現もしましたが、しかし、もっといろんな工夫が要るんじゃないかという気がいたします。
映画祭を活性化するには、何よりもまず、やっぱり映画ファンが本当に感銘を受けるような作品の競い合いが欲しいと思いますし、それと同時に、映画祭を地域の一大事業として盛り上げようとする地元の熱意が不可欠だと思います。
渋谷における東京国際映画祭は、いろいろ東急関係の企業の好意を得て、協力も得ていますけれども、しかし、総体的に私は、やはり映画祭として地の利を得ていない、東京全体の観光の大きな資源として考えるなら、場所を考え直した方がいいんじゃないかということを、最初に私は関係者に申し上げたことがございますが、その候補地も幾つかあると思いますけれども、これはまた後にみんなで検討したらいいんじゃないかと思っています。 |
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(五十三番大津浩子)次に、東京の魅力をどのようにして世界に発信していけるかと考えたいと思います。
実は、ニューヨーク五番街のように銀座でもカーチェイスをという知事の思いもあり、東京ロケーションボックスという撮影の相談窓口を平成13年からスタートしました。今後はロケ誘致なども、もっと積極的に東京をアピールし、ロケ誘致体制を充実したいところです。
「ローマの休日」という名画を思い出しますが、もう51年も前に制作された映画ですが、今も多くの観光客をローマに引きつける原動力となっています。ニューヨークでは、例えばロケ呼び込み政策を打ち出したところ、毎日60から90近い映画やテレビ撮影がされており、観光客の増加を含め、市にもたらす間接的な経済効果は、2000年に56億ドルを超えたと伝えられています。
東京には、石原裕次郎さんのような世界を代表する俳優もいらっしゃいました。いい俳優と内容と、いいロケ地によるたった一本の映画が、どれだけ千客万来の都市をもたらすでしょうか。お考えをお聞かせください。
【生活文化局長三宅広人】東京ロケーションボックスの充実についてでございます。
東京都では、平成13年度以降、都庁舎や公園、美術館など多くの都立施設を撮影に開放しておりまして、これまで約570本の映画やテレビドラマの撮影が行われました。現在、映画の制作者からは、民間施設や東京都以外の公共施設の紹介などの要望が出されております。今後は、民間や区市町村施設に関する情報を提供し、東京ロケーションボックスのサービスの充実を図ってまいります。
また、海外作品の撮影の誘致につきましては、国際フィルムコミッショナーズ協会に加盟いたしまして、積極的な展開を図り、東京の魅力を発信していきたいと考えております。 |
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(五十三番大津浩子)テレビドラマや映画制作においては、ロケ地での撮影ばかりではなく、それらをつなぐスタジオ撮影も重要で、ロケとスタジオが車でいえば両輪となっています。そこで、例えば都内で広大な土地を有する地区に大型のスタジオ群を誘致すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
【港湾局長成田浩】臨海部へのスタジオ誘致についてのご質問にお答えいたします。
ご承知のように、最近では映画のロケ地やスタジオ自体が観光資源として注目されているところであります。映画やドラマ関係者のお話によれば、スタジオの立地条件としては、第一に、広大な敷地があること、第二に、出演者等の利便のため都心に近いこと、そして第三に、スタジオ周辺にロケで活用できる街並みがあることとのことでございます。
今般、フジテレビのスタジオが臨海副都心へ進出したことに見られますように、臨海部にはこれらの条件を満たす土地があり、スタジオ誘致に伴う、まち全体のにぎわい創出も期待できますので、引き続き積極的に誘致に努めてまいります。 |
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(五十三番大津浩子)最後に、東京のものづくり産業の振興につきましてお伺いいたします。
これまで製造業を中心としたものづくり産業は、すぐれた技術と人により、技術立国日本を築き上げてきました。ところが、不景気が続き、製造業がリストラを余儀なくされた結果、ものづくり産業は職人芸の世界を失い、廃退の道をたどり始めました。熟練工が長年の勘と腕でつくり上げた特殊技術の再現は、コンピューターでは難しいのです。
この点、東京都は、東京ものづくり名工塾を大田、板橋、立川の都立技術専門学校で実施し、技能の継承を支えてまいりました。町工場などで働いていた熟練技能者の活用、町工場で生き続けていた、小さいけれども世界へきらりと光る技能の伝承を、さらに推し進めていただくための見解をお伺いいたします。
【産業労働局長有手勉】次に、技能の伝承の取り組みについてでございます。
高度な熟練技能を伝承することは、ものづくり産業の発展を図る上で極めて重要であります。このため、都は、来年度、東京ものづくり名工塾を4カ所目として江戸川技術専門校に拡充するとともに、新たに緊急地域雇用創出特別基金を活用いたしまして、離職した熟練技能者を中小企業に派遣し、若手技能者の実技指導や助言などを行うこととしております。
今後は、東京都優秀技能者の技能継承への活用促進など、これまで進めてきました事業の充実を含めて、熟練技能の伝承に積極的に取り組んでまいります。 |
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(五十三番大津浩子)また、ものづくりを軽んじないような次世代を育てていくためには、子どものころからものづくりの喜びを体験してもらえる環境づくりが大切です。教育庁が昨年十二月発表の東京都教育ビジョン中間まとめに、子どもが成長に応じて職業に関する知識や技能を計画的に身につけていくというキャリア教育がうたわれております。東京の産業特性を生かしたものづくり教育は、東京の産業の活性化につながるキャリア教育の取り組みであると考えますので、ご見解をお伺いいたします。
【教育長横山洋吉】東京の産業特性を生かしたものづくり教育についてのお尋ねでございますが、学校教育におきまして、東京に蓄積された高い工業技術、IT技術、伝統工芸など、地域特性や産業特性を生かしたものづくり教育を進めていきますことは、東京の産業の活性化のためにも重要でございますので、各学校では、総合的な学習の時間や技術・家庭科などにおきまして、地域の人材や企業などの協力を得ながら、ものづくりなどの体験的な教育を行っているところでございます。
今後は、これらの取り組みに加えまして、児童生徒一人一人の勤労観や職業観をはぐくむキャリア教育の中におきましても、ものづくり教育の一層の充実を図っていくこととしまして、ご指摘の東京都教育ビジョンの最終まとめにおきましても、そこに明記してまいります。 |