大津ひろ子の東京都議会発言

大津ひろ子

二〇一七年零時、渋谷駅ハチ公スクランブル交差点で初の歩行者天国による年越しカウントダウンが行われ、報道発表で約六万七千人のにぎわいでした。警視庁機動隊、DJポリスの万全な警備体制により、大きな事故も起こらず新年を祝うことができました。
 私の地元である渋谷、原宿は、大イベント時に世界からも注目されるまちであり、また、ファッション、グルメ、アートなどの最先端ポップカルチャーの発信地でもあり、毎日、女子中学生、女子高校生を中心とする多くの若者が訪れるまちでもあります。
 一方、生きづらさから、居場所を求めて漂流している少女たちも多く、地元のNPO法人ボンドは、女の子たちの相談や一時保護等の支援活動をしています。
 本定例会に警視庁が提案された、特定異性接客営業等の規制に関する条例案は、女子高生などの青少年をターゲットとした、いわゆるJKビジネスの規制、取り締まりを行い、被害を未然に防ぐことを目的としています。
 渋谷、原宿に代表される繁華街を訪れる女子高生が被害に遭わないように、ぜひ本条例を効果的に運用するとともに、学校を初めとする関係機関との連携も必要不可欠であると考えます。
 全国初となる本条例に対する取り組み姿勢について、警視総監のご見解を伺います。

 環境対策です。
 我が国は成熟した国家として、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会が一体となった社会の実現を目指しています。首都東京も環境のトップランナーであり続けたいと思います。
 都は、スマートエネルギー都市の実現、3R、適正処理の促進と持続可能な資源循環の利用推進等の目標を掲げ、その中で環境ファンドの活用、食品ロス、食品廃棄物対策、レジ袋対策、LED普及、さらには、東京二〇二〇大会に向け、アスリートへの思いを届ける都市鉱山からつくるメダルプロジェクトへの参画など、さまざまな施策を展開しています。
 私も初日に、捨てられずにいました古い携帯電話を、都庁のメダル協力ボックスに投入し、シリアルナンバー六十六番の感謝カードを頂戴しました。都市に住まう私たち自身も、みずからの日常生活のあり方、行動様式を見詰め直し、成熟社会にふさわしい都民でありたいと願っております。
 こうした環境に関する都民、国民の参画の動きが、二〇二〇を超えて、まさに持続する文化として引き継がれていくことが重要です。
 環境成熟社会の実現に向けて、都政の各分野における施策の連携と社会経済活動の中にもビルトインしていくことに向けて、都のリーダーシップと、都民、企業の参画のさらなる進展について、小池知事の所見を伺います。
 アスベスト被害を防止して初めて技術立国日本と誇れる国になる、そういう思いで毎年本会議で取り上げてまいりました。地震等の大規模災害時には、崩れた被災建築物から一斉にアスベストが飛散し、広範囲にわたる人への健康被害が懸念されます。
 アスベスト対策については、国交省が平成二十六年、建築物石綿含有建材調査マニュアルを策定しています。平時においてこそ、建築物のアスベスト実態調査を計画的に実施し、石綿含有建材の存在をあらかじめ把握しておくことが極めて重要です。
 実際の解体工事現場では、元請企業だけでなく、弱い立場にある二次請け、三次請け、四次請け、五次請けの作業員の情報収集、作業日報等の閲覧、加えて、調査のくいであるべきアスベストGメンの増員等も検討すべきです。
 建築物についての調査の確実な実施と調査結果の蓄積、そして台帳整備を迅速に進めることにより、関係部署間の情報共有、現場立ち入り機能の強化につなげていくべきと考えますが、それぞれについて所見を伺います。

 東日本大震災から六年、また、気候変動に起因するともいわれる自然災害が毎年のように起きています。甚大な被害を受けた教訓から、災害廃棄物処理においては、平成二十七年、廃棄物関係団体や研究、専門機関の協力により、災害時の支援の仕組みとして、災害時廃棄物処理支援ネットワークが発足し、同年の関東・東北豪雨での被災地支援において、その機能が発揮されました。まさに平時においてこそ、首都直下地震等へのたゆまぬ備えを着実に進める必要があります。
 都は、国内の大規模災害発生時に被災地の水道事業を支援する救援隊を創設しましたが、まさに命をつなぐ水の復旧です。災害からの早期の復旧、素早い立ち上がりという視点で、この救援隊創設の意義や内容についてお伺いします。
 災害時には、多くの方が一定期間、避難所生活を余儀なくされますが、不衛生なトイレが感染源となり、ノロウイルスを原因とした感染性胃腸炎などの感染症が広がったりしています。衛生管理や石けん手洗い、手指のアルコール消毒など、身近な感染症対策が大切です。
 トイレの衛生保持については、現場の環境衛生監視員が専門知識を生かし、保健医療のチームと連携を図り、対策をとるべきと考えますが、所見を伺います。
 東日本大震災の直後、渋谷から被災地に入ったボランティアの男性から聞きました。深夜、女性の助けてという声で、避難所のトイレ付近に行くと、十人以上の集団の男性が女性を襲っており、追い払って何度も助けたこと、毎晩のようだった、配給されたおにぎりを障害を持った方から取り上げて食べる人、避難所の惨事を今も思い出してつらいと伺いました。
 災害に被災し、性被害に遭う二次被害があってはなりません。避難所での女性の性被害防止について、都はどのような取り組みをしていくのか伺います。

 BCP、事業継続計画については、官民問わず、その策定と内容の拡充が急がれています。大規模災害からいち早く立ち直り、迅速に東京の活力の復旧、復興を図ることが必要です。
 都のBCPの策定及び防災訓練等を通した検証について伺います。また、都内中小事業者等の供給体制の早期復旧も重要で、都の具体的な計画策定支援策について伺います。
 昨年、博多駅前の道路陥没事故がありました。地下埋設物の電気、ガス、通信回線、上下水道など、都心インフラを打撃しました。現在、事故の原因究明と再発防止策の検討がなされています。都においても万全の対策を講じるべきと考えます。
 都が有する、地盤沈下、陥没、地下水動向データ、大小道路工事のデータ、水道水の漏水を発見する音のたくみから得られた生きた記録など、備蓄されたデータの相互活用を災害防止の観点から活用できます。これらマクロの視点とともに、例えばマンションの建てかえ時の雨水ますの除去が原因と見られる浸水事例など、小さな事例の集積により、事故の前兆を発見することが重要です。

 安全・安心な都市づくり、都道における陥没事故の未然防止について、建設局長の所見を伺います。
 今月、渋谷駅周辺で、東京都と渋谷区合同で大規模帰宅困難者訓練が行われ、企業や外国人も含め四千人が参加しました。各地域のこうした訓練の積み重ねは重要で、それに加え、市や区の行政的な線引きを超えた、近隣住民同士の交流活動の活発化が必要です。
 例えば、都の不燃化特区に指定されている渋谷区本町の方々は、被災時、新鮮なおいしい東京水、代々木公園の給水所に行くよりも、都庁横の新宿区淀橋給水所には十分で行けるのです。また、住所が中野区である東大附属中学、高校も、渋谷区本町の住宅にも近接している避難所です。
 顔の見える近隣関係づくりの促進により、地域の防災訓練などを通した日ごろからの助け合いが大切です。行政としての交流促進策について伺います。

 毎週のように、避難所設営、かまどベンチ等、渋谷区内では防災訓練が活発に行われています。訓練を通じ体で覚える、隣近所の顔を知ることができます。消防庁は防災訓練へ年間二百万人の体験者を目標としています。地域防災力の向上には、今まで未体験の方々を含め、さらに多くの都民が防火防災意識を持ち、防災思想に触れ、防災行動力を身につけていくことが肝要です。
 防災について気軽に学び、自然災害の疑似体験ができる無料の防災館等が、今までは防災体験になじみのなかった都民のためのきっかけ、第一歩となり、地域防災訓練へつながっていけるように考えます。消防総監のご見解を伺います。
 原宿の竹下通りでは、雨水を防災へ活用している商業ビルがあります。ビルの地下には、帰宅困難者用滞在スペースを設け、四百人分の備蓄を備え、仮設トイレも設置をしました。ビルに降った雨水を地下にため、小型ポンプで井戸水のように、女性でも子供でも軽々くみ上げることができ、そうした雨水を災害時の手洗いやトイレ洗浄に役立てる目的です。雨水資源の循環により、水道代や排水処理代の節約までできる、まさに竹下通りの環境、防災ビルです。
 都は、民間と連携して、もっともっと雨水活用を促進していくべきと思います。見解を伺います。

 先日、民生委員さんから聞かれました。都営住宅直接受け付け募集の、いわゆる通称事故物件という言葉が気になるのですと。不詳の死や病死等の発見がおくれた部屋の募集のことですが、幸せな気持ちで大往生を遂げても、誰かにみとられずに亡くなると、ほかに呼び名がないため、一般の不動産物件でも都営住宅でも、事故扱いとなってしまうのです。
 超高齢化社会に入った日本、誰しもが最後は一人住まいになる可能性は高く、共生社会に向けて、こうした事例や、行政の文章用語やいい回しなど、気になる表現をいま一度総点検し、常に工夫していくべきと考えます。個々について所見を伺います。

 先日の第十一回東京マラソン、東京駅を背景に次々ゴールインをしてくるランナーの笑顔は神々しいぐらいでした。東京二〇二〇大会でも、各競技においてこうした感動の輪が広がり、東京、日本が一つになる日がやってきます。
 東京大会のために、働き方改革を兼ねて、今から休暇の制度設計を始めたいという企業が幾つかあります。大会休暇の新設や、夏季休暇やお盆休暇を東京二〇二〇大会の開催期間中へ移動をする。また、大会のためのボランティア活動をする社員には、ボランティア休暇を設けたい。過去の年休復活制度等、さまざまな設計があります。
 各企業には、必ず取引先、顧客と納期があるため、民間企業、官庁、あらゆる機関の連携が大切です。会社として休暇制度を決定し、最後、労使交渉を考えると、一年半はかかるとのことです。
 東京都が国に先んじて都内企業への呼びかけを行い、全企業の働き方の工夫ができるよう、東京都が先導して旗を掲げ、具体的な行動に結びつけていけたらと考えます。二〇二〇以降は、介護や育児やボランティア活動など、多様な休暇のあり方、とり方の休暇レガシーとして、この東京に残っていくものと考えます。小池都知事のご見解をお伺いして、質問を結びます。(拍手)

知事(小池百合子)

大津ひろ子議員の一般質問にお答えいたします。
 環境対策についてお答えいたします。環境政策を進めていくためには、まず一人一人の取り組みによる大きな効果を実感していただくことで、都民の共感と意識改革につなげていく、そのことが重要と考えております。
 例えば、照明のLED化でございます。家庭やオフィスなどの省エネを実施するための最も簡単で、効果の高い取り組みでございますが、LED化が、CO2やコストの削減など、都民や企業にさまざまなメリットをもたらすことを具体的にPRすることで、クールビズのときと同じように、省エネのムーブメントを巻き起こしていきたいと考えております。
 また、既に多くの都民の皆様のご参加をいただいております、賞味期限の迫った防災備蓄食品の配布、そしてメダルをつくるための携帯電話などの回収──ご協力もありがとうございました、もったいないの理念を呼び覚まして、社会全体に持続可能の概念を浸透させてまいりたいと存じます。
 環境に対する都民、国民の機運を高めて、幅広い共感を力として、環境先進都市東京をさらに磨き上げてまいりたいと存じます。
 そして、二〇二〇年大会を契機とした働き方改革についてのお尋ねでございます。
 都は、民間企業に対しまして、年次有給休暇の取得促進など、働き方を見直す取り組みを力強く応援いたしております。
 来年度は、国と連携をいたしまして、テレワーク推進センターを開設するなど、テレワークの普及を図りまして、東京から働き方改革を牽引してまいりたいと考えております。
 また、大会に向けましては、関係団体とも連携をいたしまして、ボランティア休暇の整備やその取得促進を推進すると同時に、都独自の取り組みとして、企業におけるボランティア休暇の制度導入に向けた支援を行ってまいります。また、大会期間中の休暇取得の促進を早期に経済団体等に働きかけてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都民、国民にボランティアや、競技会場やライブサイト、さらには自宅での大会観戦など、さまざまな形で大会を楽しんでいただきたいと存じます。
 大会を契機といたしまして、個人のライフスタイルに見合った働き方改革をより一層推進いたしまして、それこそレガシーとして定着させていきたいと考えております。
 残余のご質問は、警視総監、東京都技監、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。

警視総監(沖田芳樹)

特定異性接客営業等の規制に関する条例の施行に向けた取り組みについてですが、いわゆるJKビジネスの一部において性的サービスが行われ、当該営業が福祉犯罪の温床となっているなど、青少年の健全育成に悪影響を及ぼしているところです。
 一方で、既存の法令では、当該営業に起因する犯罪等を防止することが十分ではない実情にあることから、有識者の提言を踏まえ、本条例案において、これらの営業について規制をすることといたしました。
 本条例が施行された場合には、青少年の健全な育成を阻害する違法な行為に対する取り締まりを徹底するとともに、関係部局と連携して、社会全体の機運の醸成や青少年に対する指導助言を行ってまいります。

東京都技監(邊見隆士)

三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、建築物のアスベストの使用情報についてでございます。
 平時から建築物におけるアスベスト使用の実態を把握しておき、被災した場合にも、解体や補修を安全かつ円滑に進められるよう備えていくことは重要でございます。
 このため、特定行政庁である都と区市はそれぞれ、民間建築物の所有者への働きかけや、建築基準法に基づく定期報告制度の活用などにより、吹きつけアスベストなどの使用実態を把握し、台帳として整備を進めてきてございます。
 さらに今年度からは、建築物の解体がない段階であっても、都は、この台帳の情報を庁内で共有するとともに、区市の大気汚染防止法を所管する部署への提供も徹底してございます。
 今後、一層の実態把握に努めるとともに、適切に情報共有を図ってまいります。
 次に、雨水活用の促進についてでございます。
 東京が環境と共生する都市として持続的に発展していくため、雨水活用を進めていくことは重要でございます。
 このため、都は、事業者などへの普及啓発を図り、一定規模以上の建築や開発の許認可に際して、雨水や再生水の利用施設の設置を指導しているほか、大規模な都市開発では、その設置を公共貢献として評価するなど、利用を促進してございます。
 例えば、渋谷の駅街区などのプロジェクトでは、治水対策とは別に雨水利用施設を設置し、トイレ洗浄水や植栽への散水などに有効利用を図る予定でございます。
 今後とも、都市開発の機会などを捉えて、望ましい水循環の形成に資するよう、雨水活用の促進に取り組んでまいります。
 最後に、都営住宅の募集時の説明についてでございます。
 建物の賃貸借などの不動産取引においては、取引の判断に重要な影響を及ぼすこととなる事実を故意に告げないことは法令により禁止されており、都営住宅の募集においても必要な事実を正確に提供してございます。
 事故物件とは、一般的には、人の死亡にかかわる事件があった不動産を指すとされてございます。法的に明確な定義は存在しないことから、都営住宅の募集案内にはその表現を用いずに、病死等の発見がおくれた住宅及び自殺等があった住宅として、その事実を記載してございます。
 都民に説明する際の用語の使用については、口頭での説明も含め、引き続き適切な表現に努めてまいります。

環境局長(遠藤雅彦君)

アスベストに係る現場立ち入りについてでございますが、アスベストは都内のさまざまな建物で使用されており、解体工事等に当たっては、事業者による適切な届け出や飛散防止対策が必要でございます。
 そこで都は、立ち入り権限を持つ区市と分担して、大気汚染防止法の改正により可能となった届け出のない解体現場への抜き打ち検査も実施しており、今年度は十二月までに、区市と合わせて法改正前の二倍以上となる約二千三百件の立ち入りを行ったところでございます。
 また、区市単独では対応が難しい案件につきましては、都が専門の資格を持つ職員を派遣し、現場確認やヒアリングなどを支援することで、指導体制を強化しております。
 今後とも、区市や都市整備局等の関係機関と緊密に連携し、アスベスト飛散防止のさらなる徹底を図ってまいります。

水道局長(醍醐勇司)

東京水道災害救援隊についてでありますが、命に直結する水道事業におきまして、迅速な災害対応は極めて重要であることから、被災地からの応援要請に即応できる体制を、このたび東京水道災害救援隊として創設することといたしました。
 具体的には、当局の事業所において、初動派遣の当番部署を月ごとに決めておくとともに、災害派遣に応じる意思のある職員を事前に登録することで、水道事業体の全国組織である日本水道協会を通じた応援要請に直ちに対応できる体制を常時確保してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都として、国内で発生する大規模災害への支援を、より一層強化するとともに、災害支援で得られた経験や教訓を生かしまして、切迫性が指摘されております首都直下地震等への備えにも万全を期してまいります。

福祉保健局長(梶原洋)

二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、災害時における避難所のトイレの衛生対策についてでありますが、東京都地域防災計画の修正を踏まえまして、都は、区市町村向けの避難所管理運営の指針を平成二十五年二月に改定をいたしました。
 その中では、衛生管理に関する事項として、トイレの取り扱いについて示しておりまして、平常時の対策としては、災害用トイレの備蓄や、し尿収集車の確保、手や指の消毒薬の備蓄などを、発災後の対策としましては、利用者の安全性に配慮した災害用トイレの設置場所の選定、定期的な清掃、消毒などを明記しております。
 また、災害時に都は、区市町村等からの要請に応じて、専門的立場からトイレの適正管理などについて助言指導を行い、避難所で衛生対策を指導する環境衛生監視員が、医師や看護師等の医療従事者と情報共有しながら、適切に保健衛生対策を講じていくこととしております。
 次に、避難場における女性への配慮についてでありますが、避難所管理運営の指針は、女性の視点も取り入れて策定しており、その中には、過去の災害時の教訓も踏まえまして、女性の安全を守るために区市町村が取り組むべき事項として、男女のトイレは離すこと、明かりが届く場に設置をすること、パーテーションを利用して区画をつくる際は死角ができないようにすること、パトロールを行うことなどの内容を盛り込んでおります。
 今後とも、災害時に女性に配慮した避難所運営が行われますよう、区市町村に対して避難所管理運営マニュアルの作成や改訂を働きかけてまいります。

総務局長(多羅尾光睦)

三点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の事業継続計画についてですが、大規模災害時は行政みずからも被災し、人員や物資等に制約がある中で膨大な応急復旧業務等を遂行することから、あらかじめ対応方針等を定めておく必要がございます。
 そのため、都は、災害時の事業継続計画である都政のBCPにより、優先業務や通信手段の確保等について方針を定め、他県等との応援に関する連携強化や災害情報システムの改善等、体制を整備してまいりました。
 また、各種の訓練を行い、国や九都県市など関係機関との連携、発災初期の災害情報の速やかな把握など、さまざまな観点から検証を行っております。
 さらに、昨年の熊本地震では、他県等の応援職員を適切に配置できない等、その活用が課題であったため、受け入れルールを明確化するなど、災害時の事業継続をより確実にしてまいります。
 次に、地域防災力向上に向けた都の取り組みについてですが、地域防災力を向上させ大規模な災害による被害を軽減するには、自助、共助の担い手である地域住民による主体的な防災活動の展開が重要でございます。
 このため、都は、地域の実情に精通し、発災時の避難誘導等を担う区市町村と連携し、避難場所など防災情報を広く周知するとともに、防災訓練等に意欲的な地域の団体の活動を紹介することにより、他の地域への波及等に取り組んでまいりました。
 今後とも、多様な手法を通じた情報の提供等を行うとともに、町会、自治会等による防災活動の後押しを推進するなど、都民一人一人の防災意識を高める取り組みを広域的に進め、都民の防災力向上に努めてまいります。
 次に、行政用語の表現の工夫についてです。
 都は、窓口サービスマニュアルにおいて、職員が都民や利用者と接する上で守るべき基本ルールや、職場での組織的取り組みを進めるヒントを提示し、都民等の立場や気持ちに寄り添う対応とするなど都民サービスの向上に努めてまいりました。
 今後、積極的な取り組み事例の庁内での共有化などを検討してまいります。
 また、職員が都民向けの印刷物を作成する際の留意点をまとめた印刷物マニュアルでは、差別的な表現は使用を禁じ、不快感を与えるおそれのある表現については細心の注意を払うべきとしております。
 都民ファーストの視点から都政を推進するために、より一層相手の立場に立った配慮をするよう各局に周知徹底してまいります。

産業労働局長(藤田裕司)

中小企業のBCP策定支援策についてでございますが、震災等の災害に備え、緊急時の事業継続のための方法などを定めるBCPは、災害による事業活動への影響を最小限に抑える上で効果が高いことから、都は、BCPの策定等に取り組む中小企業を支援しているところでございます。
 具体的には、普及啓発セミナーを実施いたしますほか、BCP策定支援講座を開設しております。また、各企業の計画策定を支援するため、専門家の派遣を行いますとともに、BCPの定着に向けたフォローアップセミナーを実施しております。
 引き続き、意識啓発、計画策定から定着までの一連の支援により、中小企業の防災力の向上を図ってまいります。

建設局長(西倉鉄也)

都道における陥没事故の未然防止についてでございますが、道路を常に良好な状態に保つことは、都民生活の安全・安心を確保する上で極めて重要でございます。
 このため、都は、道路管理者として、道路に埋設物を設置する占用企業者に対しまして、工事の安全対策や施設の適切な維持管理の徹底を指導するとともに、日常的な巡回点検により、道路の状態を的確に把握し、路面の異常を発見した場合には破損箇所の応急復旧を速やかに行っております。
 さらに、直接目視できない路面下の空洞を早期に発見するため、大型の埋設物がある路線等を対象に、地中レーダーによる調査を毎年実施しておりまして、発見した空洞には砂の充填を行うなど、陥没の未然防止に努めております。
 今後とも、こうした対策の積み重ねにより、誰もが安心して利用できる道路の保全に取り組んでまいります。

消防総監(高橋淳)

防災館の活用による防災行動力の向上についてでありますが、東京消防庁では、都民が楽しみながら防災について学べる体験型訓練施設として、池袋、本所、立川に防災館を整備しており、平成二十八年中は、三館合計で約二十八万八千人が利用しております。
 防災館での訓練体験は、都民の防災行動力の向上につながることから、より多くの都民に利用してもらえるよう、各種イベントを開催するほか、池袋では救助、救出の体験、本所では暴風雨の体験、立川ではこども防災体験広場など、各防災館に特徴を持たせたコーナーを設置しております。
 今後とも、地域の防災訓練に参加したことのない都民にも利用してもらえるよう、体験コーナーの計画的なリニューアルを行うなど、防災館の魅力向上に努めてまいります。