大津ひろ子の東京都議会発言

大津ひろ子

渋谷地区の盛り場総合対策の現状につきまして、平成二十一年第一定例会で警視総監に質問いたしたところ、条例を整備して客引き行為の規制強化や無料風俗店案内所に対する規制を図るなど、盛り場の環境浄化に努めておりますとの答弁をちょうだいいたしました。
 以降、警視庁の重点的かつ戦略的な盛り場総合対策により、渋谷地区における治安は改善されつつあるものの、最近でも地元からは、無料風俗案内所や客引きをもとから絶ってほしいという声を多く聞きます。
 空き店舗跡に数メートルごとに入った無料風俗案内所や、夜八時、九時台から風俗の客引きが道玄坂にたむろする状況は、まちの治安や周辺商店街の活性化を悪化させるだけでなく、渋谷の明るい若者と大人のまちのイメージが崩れてしまうのではないかとの懸念があります。
 そこで、現在の渋谷地区の環境浄化への推進状況について、警視総監にお伺いいたします。

 次に、防災対策について伺います。
 東日本大震災で被害をこうむった岩手県陸前高田市に何度か向かわせていただきました。大津波が市役所に襲来しても、防災課の職員全員は防災資器材から離れなかったのだそうです。津波に飲み込まれてしまった殉職でした。防災の手引やパソコンもすべて流される。防災行政無線もつながらない。すべてが根こそぎ持っていかれてしまう。大震災に遭うということは、こういうことだ。ゼロから素手で立ち上がった復興だったのです。
 東京は、この約百五十年間で、安政の大地震、関東大震災、そして東京大空襲と、三度も焼け野原になりました。三月十日、平和の日、そして三・一一、震災から一年がたとうとしています。
 今回の大震災直後から、多くの都民、企業、団体、学校や、そして消防庁、警視庁、都庁職員が被災現地に入り、支援復興に当たっています。図らずも、こうした過程で得られた経験、知見は貴重なものです。
 初めに、被災地への支援を通じて得た教訓を踏まえ、都民の命と安全を守るため、五十年、百年後まで見据えた、都民の総力を結集し、そして高度な防災都市づくりへ向けた石原知事のお考えをお伺いいたします。
 今回の震災では戸籍情報も流されたため、来年度からは、国は全国三カ所の法務局で副本を保全する仕組みを導入することになりました。
 千三百万都民にかかわる情報財産や首都機能の存続のため、情報システムやデータのバックアップ体制には、万が一、都庁の下の震源地であるとしても、万全な二の矢、三の矢を放っているのでしょうか。災害時に都庁の機能を存続させるため、基盤システムのバックアップ体制の確保が重要と考えますが、見解をお伺いします。
 陸前高田市では、避難所に指定されていた市役所の屋上まで冠水をしてしまい、避難所マニュアルもすべて津波で失いましたが、自宅が高台にあり流されなかった職員が、万が一に備えて自宅に置いてあった、たった一冊の避難所運営マニュアル、この避難所運営マニュアルを見ながら、防災課の職員ではなかったのですが、体育館での避難所を一から立ち上げました。
 災害時に体育館等で最初に避難する人たちが生活をするための避難所運営マニュアルの作成は、大切な基礎的な備えの一つではないでしょうか。

 東京都内の現在の避難所マニュアルの作成状況について伺います。
 未整備の区市町村については早急に準備すべきと考えます。都は、広域的な視点で助言や支援をすべきと思いますが、所見を伺います。
 助かった後に命をつなぐ次の重要な局面は、環境衛生です。
 避難所生活、仮設住宅での生活、個人住宅での衣食住での衛生環境を保持し、伝染病の蔓延など二次、三次の被害を未然に防止することが大切です。
 オオクロバエやある種のハエ類は、消化器感染症の伝播に密接にかかわっています。ちょうど瓦れきや被災建物を撤去した後にあらわれてくる排水だまりや浄化槽のたまり水は、冬の間はいいのですが、これから春になると蚊の幼虫などの発生源となります。
 専門家は、ことし、これから暖かくなるとこうした衛生害虫類が大量発生する可能性も否定できないとしております。現在では、専門家も不足しており、さまざまな機関の協力や、ニーズに応じた適切な情報提供や薬剤使用実習などを進めることが急務となっております。
 東京で震災等大規模な災害が発生した際、都民の健康と安全を守るために、どのような環境衛生対策を講じるのか、区市町村と、そして専門家と連携をし、地域での具体的な取り組みを進めていくことが重要と考えますが、所見を伺います。
 被災地の団体から、体育館などの避難所の話として、男性は、体育館皆家族、きずなだという、女性は、そうはいっても間仕切りが欲しいというように、着がえ、ふろ、トイレ等を通じて、避難所運営リーダーの中には女性の登用も必要だという話を聞いてまいりました。
 東京都の最高審議会である防災会議の構成委員を見ても、六十一名全員が男性で、女性委員はゼロが現状です。東京を初めとする女性委員がいない防災会議は、十二都道府県あります。
 それでは、防災会議以外の防災関連の委員会には女性委員が入っているのかを、都を除く四十六道府県に調査をしてみました。すると、三十四道府県から資料提供がございまして、うち女性委員が関連委員会にいた道府県数は十九ありました。いずれも女性が入りにくい要因は、充て職で構成されているためです。
 国全体でいえば、全国の民間企業において決定権のある立場にある部長以上の管理職への女性の登用率は、四・二%と極めて低いレベルにあります。
 昨年十二月、国の男女共同参画基本計画の改正で、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制を確立する必要があると閣議決定、既に都の地域防災計画でも、男女平等参画審議会の最終報告でも、同様の明記がありました。
 男女ともに尊重し合い、助け合い、補い合うことで、より質の高い防災対策が施せるはずです。
 計画の段階から復興に至るまで、男女平等参画の視点に立った審議会を運営するために、防災会議の委員に女性を複数登用してほしいと考えますが、見解をお伺いします。
 今回の震災において、関東地方一都六県九十六市町村で液状化が発生し、浦安市を初め都内の木造住宅が傾くなど、深刻な被害を受けております。都においても、建築物液状化対策検討委員会で被害が生じた地区の地盤調査等の検討を始め、液状化対策の指針を策定するとしており、これに基づく的確な液状化対策を早急に講じることが望まれます。

 その上で、都市の公共構造物の地震対策について伺います。
 江戸時代から今日まで埋め立ててきた埋立地や、河川の護岸、昭和三十年代から四十年代にほとんどがつくられた水門、防潮堤、防波堤、そして、避難通路の確保にも重要な橋梁など都市の公共構造物についても、災害時における安全を確保することが極めて重要です。
 耐震基準のわかりやすい建築物と違って、都市の公共構造物の強度はどうも見えにくいようです。大丈夫、大丈夫とはいっても、一体どういう基準で、どのクラスの地震までなら安全に構造されているのかとよく聞かれます。
 これらの都市の公共構造物についての安全基準と対策についてお伺いします。
 五百七十八年前、永享の伊豆大島近海地震では、利根川の水が逆流をしたとの記録がありましたが、今回の震災時には、利根川の銚子では二・四六メートルの津波が観測されています。
 気象庁では、晴海で高さ約一・五メートルの津波が観測されていましたが、都や国の公表では、東京の河川にも津波の影響があらわれていました。
 神田川の飯田橋で〇・七五メートル、隅田川の小台で〇・六九メートル、東京湾内の江戸川、妙典では一・〇七メートル、多摩川の河口で〇・九五メートルの水位上昇が、この津波に伴って確認されました。

 渋谷川の水位観測所は、工事のためデータ欠損となっていますが、天現寺橋を境につながる渋谷川・古川の津波高に対する安全性についてお伺いいたします。
 さて、三陸海岸には、地震があったら津波の用心と記された石碑が至るところで見られるそうです。実は、都内でもそうした石碑があります。
 例えば、都の指定有形文化財にもなっている江東区の波除碑ですが、この碑は寛政三年、深川洲崎一帯を来襲した高潮によって付近の家屋がことごとく流され、江戸幕府が建立したものです。そこには、一定地域での居住を禁じる内容が記されていたとのことです。都市の防災を考える上で、こうした文化財の存在や意義を語り伝えていくことは重要です。
 東京都には島しょ、西部には山間部と、地域ごとに災害の歴史があり、そこに住む人々、とりわけ子どもたちが土地の由来やいい伝えを過去の教訓として学ぶことは、防災の視点からも、地域への愛着を深める意味でも必要なことです。子どもたちがやがて親となり、また親から子へと受け継ぐことで防災文化が継承されるわけです。
 そこで、教育長にお伺いします。波除碑のような防災の教訓を今に伝える文化財について、学校教育で積極的に活用し、将来のまちづくりを担う人材を育成するべきと考えますが、所見を伺います。
 陸前高田市の広田地区では、海近くに保育園、小学校、中学校、高校が隣接をしていました。津波に襲われそうになったとき、中学生が隣の保育園に入り、園児をおぶいながら裏の高台へ避難し、全員の命が救われました。勇気ある行動と、日ごろから顔の見えるまちで育つ優しさ、人々の結びつきや地域の強さがひしひしと伝わってくるのでした。

 次に、消費者保護行政についてお伺いします。
 平成二十二年に都内で不慮の事故で亡くなられた方は二千八百七十七人、ここに含まれる厚労省発表の交通事故死亡者三百二十五人の約八倍の方が、衣食住の事故を初めとする不慮の事故で亡くなられています。
 東京消防庁管内で、平成十八年からの五年間で、ライターの火遊びによる火災は二百三十二件も起こっており、都は、いち早く国にライターの安全対策について要望し、昨年九月に消費生活用製品安全法により、チャイルドレジスタンス機能がついていない旧使い捨てライターは販売ができなくなりました。
 せっかく法律が整備されたといっても、やはり土を敷き、水をかけないと、法律をつくっただけのことになってしまいます。
 都内で処分されずに残っていた旧型ライターによる火遊びが原因と思われると報じられる火災事故で、また幼い子どもが犠牲になりました。この悲劇をもう繰り返さないよう、使い捨てライターの危険から消費者を守るため、都はどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 介護ベッドの挟まれ事故や、コンニャクゼリーがのどに詰まった、また、このライター、いずれも日常生活に潜む危険の芽を摘み取り、日常生活に潜む危害、危険から都民の生命を守ることは、都の責務でもあります。
 おととしの第二回都議会定例会では、石原知事から、消費生活の安全と安心の確保は都政の基本的な役割との認識が示されました。
 消費者安全法の制定により、重大事故が発生した場合、これまで規制が及ばなかったすき間事案については、知事は業者に対する立入調査を行うことができることとなり、この伝家の宝刀ともいうべき知事の権限を活用して消費者を救済することができるのです。
 こうした中、昨年十二月、消費者の被害救済の充実に向けた消費生活条例改正の提案がありました。
 消費者被害救済委員会の役割は、個別被害の救済にとどまらず、紛争解決の経過と結果を都民に広く周知するところにより、第二、第三の被害を未然に防止するところに大きな意義があります。
 消費者被害救済委員会は、これまで契約、財産事案を主に解決してきましたが、今回の機能強化を機に、製品等に起因する事故についても積極的に取り組むとともに、知事の権限も最大限活用しながら、危険、危害の防止に努めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 早い解決方法は、家庭から旧ライターを排出しやすくすることです。この際、丁寧で粘り強い排出指導や、わかりやすい周知が必要です。
 まずは、東京全域で家庭に配られている資源とごみの分け方出し方、このようなパンフレットに、安全規制をされた、法に触れたライターの出し方を写真入りで早急に書き込むべきです。広報以外にも、収集所以外での収集キャンペーンや、親に呼びかけていくなど、実際に排出する行動に結びつけるきっかけを仕掛けていくべきです。
 使い捨てライターのように着火しやすいという製造段階から危ないものは、ごみ収集車がライターの回収により火災、爆発事故を起こすように、最後まで危ないのです。廃棄物という出口から、改めて都民の命と安全を守るために、何をどうしたらいいのか、製造段階から廃棄まで一貫したものづくりを廃棄物行政から考えていくことで、技術立国日本の力を発揮できるのです。
 そこで、昨年九月二十七日に使い捨てライター安全規制の法律が施行され、旧型ライターの製造、輸入はもとより、販売禁止が義務づけられた後の旧ライターの排出状況についてお伺いします。

 また、排出しやすい方法と回収への早急な取り組みについてもお伺いします。
 東京消防庁は、救急搬送の現場から都民の命と安全を守るだけでなく、救急搬送の回数にかかわらず、こうした衣食住や生活の中の事故の防止のために、一貫して危険を発信してこられた活動を、大変評価しています。また、東北被災時には、消火を初めとする支援にも敬意を表したいと存じます。
 消防庁の救急搬送の現場から見た都民生活事故防止に関する取り組みの具体的な内容について、消防総監にお伺いします。
 また、旧ライターの販売規制のかかった昨年九月二十七日以降における子どもの火遊び火災の発生状況と、そして、防止対策にかかわる東京消防庁の取り組みについてお伺いいたします。
 以上で質問を終えます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
96◯知事(石原慎太郎)

大津浩子議員の一般質問にお答えいたします。
 高度防災都市の構築についてでありますが、東北の大震災からの復興に被災地は全力で取り組んでおりますけれども、その道は、今なお途上でありまして、都は、全国の先頭に立って被災地の瓦れきを受け入れるほか、上下水道や港湾等のインフラの復旧、学校教育など、被災地の復興を専門性のある職員を送って強力に後押しをしております。
 こうした支援を通じて、我々は将来を見据え、東京自身の防災力を根底から向上させるための現実に根差した多くの教訓を学ぶことができました。
 発生直後の困難な状況の中で、被災した方同士が相互に気遣い、支え合う姿は、人々の連帯によって成り立つ人間社会の本来の姿を都から派遣した若い職員たちに鮮烈に示してくれたと思います。
 こうした住民の連帯に基づく支え合いを大都市東京においてもきちっと再生させ、普遍させるために、住民同士による意欲的な活動である防災隣組を広く波及させていきたいと思います。これ、何よりも大切な、何よりも効果的なものは、やはり人間の連帯であります。
 また、被災地で医療活動に従事した医者たちは、現地で既に導入されていた災害医療コーディネーターの有効性を学びまして、これを東京に持ち込んで、準備していきたいと思っておりますが、被災地におけるこうした取り組みを東京の特性を踏まえた独自の仕組みとして導入して、災害時の医療体制も強化していきたいと思っています。
 被災地支援という現場から得た教訓を実効ある防災対策へと昇華させて、東京の防災力を高度化させていくつもりであります。
 他の質問については、警視総監、教育長及び技監から答弁をいたします。

警視総監(樋口建史)

渋谷地区における盛り場対策の取り組み状況についてお答えを申し上げます。
 渋谷地区につきましては、平成十七年十二月から、歌舞伎町、池袋、六本木と合わせまして、四地区特別対策として盛り場環境の浄化に取り組んでいるところであります。
 特に、平成十七年の迷惑防止条例の改正を契機に取り締まりを強化いたしておりまして、渋谷地区では、昨年はこの迷惑防止条例に規定する客引き行為等といたしまして、違反としてとらえられている形態でありますが、三十五件、三十五名を検挙しているところであります。
 それから、渋谷地区の風俗案内所についてでありますけれども、これが条例でとらえられましたのは平成十八年でありまして、平成十八年のいわゆる風俗案内所条例の制定以降、性風俗店のビラ等を配布した風俗案内所の従業員をこの条例違反で検挙するなど、取り締まりを強化しているところでございまして、本年一月現在で、かつては、往時には十二店舗あった風俗案内所が、この一月現在では九店舗となっているような状況であります。
 ただ、これは、これまでの経緯と現状は今申し上げたところでありますけれども、まだまだ問題が多いとのご指摘でありますので、引き続き実態把握をきちっとやりたいと思いますとともに、この条例が規制対象として定めております届け出等の義務違反でありますとか、時間規制に関する違反、さらには、条例の施行規則で定められているところでありますけれども、施行規則に定められているたぐいの写真や絵、その他の物品の表示といった違反行為が認められた場合には、いささかも看過することなく、条例を厳正に運用して取り締まりを強化してまいりたいと考えております。

教育長(大原正行)

災害の教訓を今に伝える文化財を活用した将来のまちづくりを担う人材の育成についてでございますが、自然災害に見舞われながらも、先人がその苦難を乗り越え、自然の脅威や災害への備えを教訓として今に伝えている文化財が各地に保存されております。
 児童生徒がそれらを見学したり、その故事来歴について地域の方の話を聞いたりすることは、防災に関する知識の習得にとどまらず、まさに先人が後世に残してくれたまちづくりにかかわる貴重な教訓を学ぶことであり、郷土に対する関心と愛着を高める重要な教育活動であると考えます。
 今後とも、児童生徒がこうした先人のメッセージに込められた精神を受け継ぎ、人々が安心し快適に生活できるまちづくりに、多様な分野で貢献できる人材として成長するよう取り組んでまいります。

東京都技監(村尾公一)

二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市の公共構造物の安全基準と対策についてでありますが、河川構造物や橋梁など、それぞれの施設で国の基準に基づいて対策を実施してきております。
 堤防や水門などの整備に当たりましては、関東大震災時の震度に対して耐震対策を行い、一定の安全性を確保してまいりました。
 現在、これらの対策に加え、マグニチュード八クラスの海溝型地震等を想定して、各施設の耐震性の確認を進めるとともに、東京都防災会議の下に設けられた地震、津波の第一人者から構成される地震部会などで検討を行っており、これらを踏まえて新しい整備計画を策定してまいります。
 緊急輸送道路等の橋梁につきましては、マグニチュード八クラスの海溝型地震と阪神・淡路大震災級の直下地震を考慮して耐震対策を行っております。
 次に、渋谷川・古川における津波高に対する安全性でありますが、都は、津波や高潮の想定高に基づき、防潮堤などの整備を行っております。
 これまで想定していた最大の津波高は一・二メートルであります。一方、高潮の高さは、渋谷川の下流に位置する古川で二・五メートルであり、津波より高い高潮に対して整備を行っていることから、安全性は確保されております。
 なお、震災の当日、古川では、港区南麻布の四之橋付近で最大一・一メートルの水位が観測されており、渋谷川の最下流の天現寺橋付近では、護岸天端まで約五メートル程度の余裕があったものと推定されます。
 今後は、都が見直しを進めている津波の想定高を踏まえ、必要な対策を行ってまいります。

総務局長(笠井謙一)

二点のご質問にお答えいたします。
 まず、基盤システムのバックアップについてでございますが、情報システムやデータを災害などから守るための取り組みは重要と認識いたしております。
 都では、四万五千台の端末を接続する基盤システムについて、災害時やシステム障害時にもシステムが停止することなく稼働できるよう、システム構成の二重化を図るほか、データの定期的なバックアップを実施しております。
 また、災害発生時におけるシステム部門の職員の非常参集やシステムの応急復旧手順などを定めた危機管理マニュアル兼事業継続計画書を作成し、それに基づく訓練も実施いたしております。
 今後とも、費用対効果の観点も踏まえ、災害時におけるシステムの安定稼働の確保に向け、必要なバックアップ等に努めてまいります。
 次いで、防災会議における女性委員の登用についてでございますが、東京都防災会議は、災害対策基本法に基づき設置される機関であり、その委員については、国の地方行政機関の長やライフライン事業者の役員など、充てるべき委員が法により定められております。
 一方で、防災分野における男女共同参画の視点については、都の地域防災計画でも、男女双方の視点に配慮した防災を進めるため、防災に関する政策方針決定過程及び防災の現場における女性の参画の拡大を掲げております。
 このため、今回の地域防災計画の修正に当たり設置いたしました検討部会は、女性も含めた構成としたところであり、今後とも、男女双方の視点に立った防災対策の構築に取り組んでまいります。

福祉保健局長(杉村栄一)

二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、避難所の管理運営マニュアルについてでございますが、震災等大規模な災害が発生し、多くの都民が自宅等からの避難を余儀なくされた場合、区市町村は、東京都地域防災計画に基づきまして、避難所を速やかに設置することとされております。
 避難所の運営を円滑に行うためには、食料の供給や衛生管理など、具体的な管理運営手法について、関係者があらかじめ認識を共有しておくことが重要でありますことから、都は、区市町村が地域の実情を踏まえたマニュアルを作成する際の指針を示し、整備を支援いたしております。
 本年二月現在、マニュアルを作成済みの区市町村は三十五で全体の約六割、また、策定中または策定予定の区市町村は十五と聞いております。
 今後とも、マニュアルを早期に策定するよう働きかけてまいります。
 次に、災害時における環境衛生対策についてでございますが、災害時に、都は、避難所等の衛生的な環境を確保するため、区市町村に対し、飲み水の管理や室内環境の保持、害虫の防除などについて、広域的、専門的な立場から技術的助言や人的な支援、薬剤配布等の物的支援を行うことといたしております。
 このため、平常時から、避難所の環境調査に必要な資器材や調査票等を保健所に配備するほか、関係団体と薬剤供給について協定を締結するなどの取り組みを行っております。
 また、来月には被災地で活動した専門家の協力も得まして、害虫防除対応に関します区市町村向け講習会を開催いたします。
 今後とも、区市町村を初め、事業者や研究機関等の専門家とも連携しながら、災害時における環境衛生の確保を図ってまいります。

生活文化局長(井澤勇治)

二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ライターの安全対策についてでございますが、都は、消費生活用製品安全法の指定によりまして、子どもが簡単に操作できないようにする、いわゆるチャイルドレジスタンス機能がない使い捨てライターが販売されないよう、定期的に販売事業者に立入検査を行い、監視しております。
 しかし、家庭内にはいまだに旧型のライターが処分されずに多く残されていることから、これまでもライターの取り扱いについて注意喚起を行ってまいりましたが、今回の火災事故を受け、ホームページ等で緊急危害情報を発信し、旧型ライターの適切な廃棄を呼びかけました。
 今後も、特に小さな子どもがいる家庭を対象に、旧型ライターの危険性や早期処分について、消費生活情報誌「東京くらしねっと」や、東京都提供番組等、さまざまな広報媒体を通じて注意喚起してまいります。
 次に、消費者被害救済の取り組み強化についてでございますが、今回の消費者被害救済委員会の機能強化により、反復被害や緊急性がある事案についても新たに委員会の審議対象としていくとともに、区市町村に寄せられた案件についても受け付けるなど、被害救済の間口を広げることといたしました。これにより、製品等に起因する事故や、美容やエステ関係など、これまで以上に幅広く消費者被害からの救済を図ることができるものと考えております。
 さらに、事業者に対して、製品やサービスの改善等の措置をとるよう働きかけを行い、あわせて、都民へ適切な情報を発信してまいります。
 また、こうした取り組みとともに、消費者安全法による立入調査権の活用も含め、都民の消費生活におけるさまざまな危害、危険の防止に努めてまいります。

環境局長(大野輝之)

使い捨てライターの排出についてのご質問でございます。
 まず、法施行後の排出状況についてございますが、スーパーやコンビニ、たばこ店等の販売店では、法施行前から在庫処分を進めてきておりまして、廃棄物処理事業者によりますと、最近の処理依頼はないとのことであります。
 一方、家庭からの排出につきましては、一般廃棄物の処理を担う区市町村からは、法施行後は増加傾向にあると聞いております。
 次に、排出方法についてですが、ごみ収集車の火災防止の観点から、原則、中身を使い切ってごみ集積所等に排出することになっておりますが、中身を使い切れない場合やライターが多量にある場合は、区市町村に相談をして、ライターとわかるように表示して排出する方法も可能でございます。
 これまで都は、「広報東京都」やホームページ、ラジオ放送などで使い捨てライターの取り扱いの注意点や排出方法を繰り返し周知してきております。
 今後、都は、区市町村が作成するごみ出し日や分別方法を記載したごみカレンダーやパンフレットに、使い捨てライターの排出方法をわかりやすく掲載するよう区市町村に働きかけるなど、都民への周知に努めてまいります。

消防総監(北村吉男)

二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民生活事故防止に係る取り組みについてでありますが、東京消防庁ではこれまで、日常の生活において生ずる事故から、熱中症や一酸化炭素中毒事故などの社会的に影響の大きい事案や繰り返しの発生が危惧されるものについて、時期を逸することのない情報発信を行い、その再発防止に努めてまいりました。
 今年度は、過去五年間の救急搬送データに着目して、都民生活事故を分析し、新たに発生要因別の傾向と事故防止のポイントをまとめるとともに、特に発生の多い乳幼児の転落や高齢者の入浴中の事故などを注意喚起するための資料を作成し、広くマスコミやホームページなどを通じて広報しております。
 今後も、関係各局や国等と十分に連携し、都民生活において生ずる事故の未然防止に積極的に取り組んでまいります。
 次に、ライターによる子どもの火遊び火災の発生状況と、東京消防庁が取り組む防止対策についてでありますが、昨年九月の使い捨てライターの販売規制以降、十二月末までの間にライターによる子どもの火遊び火災は四件発生しております。
 これまで、当庁で作成した危険予知シートなどの教材を活用し、保育所や幼稚園、小学校低学年の子どもを対象に、直接、消防職員が火の怖さや火遊びの危険性について教えてまいりました。
 また、保護者等に対しましても、都民防災教育センターなどにおいて、事例を踏まえた具体的な注意喚起を行っており、今後も、関係機関と連携して、子どもの火遊びによる火災の低減に努めてまいります。