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平成16年12月6日(月) 「奥多摩水源視察 IN 2004」報告

◇ おいしい水はどうやってできてるの?
羽田空港沖の玉川河口から遡ること約90キロメートル、大津ひろ子都議と市民代表の一行は、都民の水道を供給する多摩川の源泉を訪ねた。2004年12月6日(月)、雲ひとつない快晴にめぐまれて、JR青梅線・青梅駅からこの視察は始まった。1901年に当時の東京府が皇室所有の御料林を譲り受けた「水道源林」の現状を知ることが今回の視察の目的である。
 二つのマイクロバスに分譲すること約1時間、路線バスの折り返し点、峰谷集落で小休憩した後、幅4メートルほどのでこぼこ道をさらにゆられて20分で、あのあこがれの茂久保線トロッコ乗り場に着いた。

◇ モノレールに乗って39度勾配の山を登る
 林道の終点では、峰谷川(多摩川の上流の一つ)の上流、茂久保から山梨県との境、千本つつじまでの2.4キロメートルを結ぶモノレールが待っていた。
 石炭を運ぶ箱型の「トロッコ」をイメージしていた我々はまず、一人ずつ座席があるのに感激した。
 風除けの透明シートまで備えつけられていて、乗り心地はきわめて快適である。外見はまるで遊園地で子供が乗るような小さな列車だが、これが驚くほどの力持ちなのだ。
 モノレールは最大39度の勾配をものともせず、約500キログラムの乗客と荷物をぐいぐい引っ張っていく。時速は2.4キロメートルほどだ。思わず、「ちびトロッコえらいぞ」という感嘆の声があがる。

◇ おいしい飲み水を守るのは自然界の循環システムだった
 道幅約4メートルの林道を抜けると、広大なわさび畑が見えてくる。かつては、きこりや炭焼きで生計を立てていたが、近年はカナダからの材木や、中国からの炭など、安い輸入品に押されてめっきり仕事が減っている。
 代わってきれいな水を利用したわさび栽培が盛んになってきている。広葉樹の落葉と、間引きされた樹木のすきまに育つ下草が、降った雨水をゆっくりと地下に浸透させる。これはまた、大量の雨水をせき止め、下流の水害を防ぐ役目をする。
 間伐された木を、立ち木と立ち木の間に置くことで、土砂の流出を防ぐ。また、地面に深くはった木の根はしっかりと山の土を固めている。人間の森に対するこまめな手入れが、下流の洪水を防ぎ、おいしい水を供給することになる。

◇ 思った以上に大きい鹿の害

 今年は例年にない高い気温が続いたため、自然淘汰を妨げられて異常繁殖した鹿が、現在奥多摩地域で2000頭ほど確認されている。
 水源に近い山肌では、地上より1メートルほどのところの樹皮を鹿に食われて商品価値のなくなった木や、茎だけになった熊笹があちこちで見られた。鹿や狸の侵入を防ぐため、高さ2メートルのネットが張られていた。動物たちはネットの前の土を掘って侵入しようとするため、底辺部が特に念入りに敷き詰めてある。植林の後、若芽を鹿に食べられて、露わになった山肌から、土砂が川に流れ込む被害が起きている。

◇ おいしい水を保つための工夫
 貯水湖では、夏になるとアオコと呼ばれるプランクトンが発生する。アオコを含んだ水は、飲み水の臭みの原因となり、また下流の取水設備をつまらせ、修理に莫大な費用を要することになる。
 そこで小河内他ダムでは、分画フェンスを設置し、定期的にアオコを除去する作業を行っている。アオコは水を人工的にせき止めたことによる水の滞留が直接の原因であるが、落ち葉などに含まれるリンや窒素などが溶け出す現象でもある。また上流のし尿処理が十分でないと大きな被害をもたらすことになる。

◇ 『森林ボランティア募集』文より抜粋

 「森林を守ることがおいしい水につながります。木の伐採や、下枝落とし、雑草の刈り払いなど、私たちができる仕事がたくさんあります。多摩川森林隊としてすでにたくさんの市民が活動しています。ボランティアとして森のすがすがしい空気を吸いながら、おいしい水を守る運動に参加する喜びを味わいたいものです。