談話室

令和7年2月26日(木) 新東京物語「能登から心の贈り物」

もうすぐ能登地震から14カ月。
能登を訪れる機会が昨年9月にありました。
1月の震災から9か月後です。
輪島に向かう「のと里山海道」も地割れで片側交互通行の個所が多く、周囲にはまだブルーシートで覆われた家屋が数多く見られました。
川の護岸が崩れ応急の黒い土嚢が積まれたままでした。
知り合いのご自宅を見舞った翌日、偶然にも塗師屋のOさんとお会いできました。
Oさんには、前回の平成17年能登地震のあとに、輪島塗の工房を見学させていただき、壊れた土蔵から取り出した貴重な朱塗り椀などを 見せていただいたのがご縁です。

昨年1月能登地震の後、9月、能登はまたしても豪雨災害にうちのめされました。
今回、Oさんから東京で展示会開催とのご連絡をいただき、さっそく東京ドームにかけつけました。
今度も壊れた工房から救出された漆器を拝見。
そこにはOさん所蔵の漆芸作家(竹園自耕や一后一兆ら)の 作品など、美術館級の作品も多数展示されていました。
少しでも励ましたいとの思いで駆け付けた展示会でしたが、80歳を超えるOさんからは、もう一度、輪島塗の復興に立ち上がる、と若々しい意気込みを伺い、被災でどん底のはずの方から心の琴線に響く言葉の贈り物を頂きました。
重いハンデを背負いながらも立ち上った輪島朝市の皆さん、何とか営業を続ける民宿のおばさん、すし店の職人さん。
厳しい風土が育んだ能登人の真の姿と優しい能登言葉です。

能登の漆塗り